今日は北湯沢駅から伊達市/京極町の境を抜けるおろえんトンネルまで行って胆振総合振興局の区間を終わらせたいと思います。今日の区間は北湯沢温泉町・優徳町・本郷町という旧大滝村(平成の大合併後は伊達市大滝区)の主要な集落を結ぶサイクリングロードとして整備されています。これらの集落をつなぐ主要な道路は部分的に歩道を備えた国道以外になく、サイクリングロードは早朝といえども歩行者の姿を見かけることが多々ありました。
名水亭さんの前を過ぎた所からサイクリングロードが始まり、歩道が赤く塗られています。
名水亭さんは紛らわしいことに2件ありまして、名水亭さんの奥には第二名水亭さんがあります。胆振線はこの第二名水亭さんの駐車場も通っていました。と言ってもその場所を通っていたというだけで、名水亭さんも第二名水亭さんも胆振線廃止後に建設されたホテルです。
第二名水亭さんを離れると車道に付属した歩道として自転車道が伸びていますが、ここから独立した歩行者自転車専用道として続きます。
車道と別れて間もなく長流川を渡ります。伊達紋別を出発してから再三にわたり長流川を渡ってきましたが、胆振線が長流川を渡るのはこれが最後。橋の名は「胆振線 おもいで橋」と言いますが、胆振線現役時の名前は「第1長流川橋梁」。ソースはもちろんako_kzのホームペヱジ ―カブ,建築物,鉄道,廃線探訪,ホーロー看板,旅行―さん。
この橋を横から見てみると歩行者自転車専用にはしては大げさすぎる気がする主桁。銘板は平成ですが、昭和を感じさせるたくさんのリベット。もしかして鉄道用を改修したものでしょうか。
橋を渡った後は、上に橋が渡されています。橋上は国道453号。
橋の上に上がってみると著名地点の標識に「旧優徳跨線橋」と書かれていました。旧ってことは胆振線廃止後に架け替えられたのかと思いきや、銘板の橋名は優徳跨線橋のまま、竣工はということで架け替えは行われていないようです。
跨線橋をくぐった先には大きな駐車場公園とドライブイン的なお店があります。お店が建っているところがまさに線路の跡。サイクリングロードは若干の迂回をし、建物が切れたところで再び線路跡に戻ります。
優徳の町も近づいてきたところで30kmの距離標がありました。最後に見た距離標は、上長和-壮瞥間だったのでめちゃくちゃ久しぶりです。
距離標の先にメロディ橋という面白い橋がかかっていました。ぱっと見何の変哲もない橋ですが、高欄に鉄琴の鍵盤が張られており、備え付けのバチで順番に打つと音楽になるというわけ。バチはどこかに行っちゃってましたけどね。曲は胆振線を意識してか、「♪今は山中今は浜」の汽車になるようです。
メロディ橋は近くの国道から見ると高欄に鉄道の装飾が張られているのが見えるので、やはり廃線跡であるとこを意識しているみたいです。しかも旅客輸送でなく、貨物専用であることから鉱物の輸送で栄えた胆振線の色が出ているように思えます。
優徳の駅に到着しました。ホームも駅舎も何も残っていません。というのも当たり前で、実は写真の位置は駅跡じゃなくて本当の駅跡は今立っているところよりも50mほど後ろでした。持ってきた地図になぜかここだとメモをしていたのでそれを鵜呑みにして現地では疑いもせずここを撮っていました。ゴメンナサイ。
2016-01-03追記
優徳駅跡の正しい位置はここ。もちろんホームも駅舎もありません。
あまりにも何もないので線路跡から一歩出てみると国道沿いに蒸気機関車の車輪が置いてありました。たぶんお隣さん家の庭だと思うんですが、どういう成り行きでここに置かれることになったんでしょうね。付近には選挙ポスター以外に由来を示すものはなく、ただお花畑に鉄の大輪が咲いているだけでした。
優徳駅を出てからはしばらく何事もなく平和なサイクリングロードを走ります。線路の跡らしく一部盛土された以外緩やかな勾配で(といっても列車にはきついんだろうな)道が続くのでサイクリングにぴったりですね。まだ朝6時で、集落と集落の間ということもあり口笛ピーピー吹いてたらブラインドカーブで若い女性とすれ違って恥ずかしかったのはここだけの秘密。
距離標でしょうか?「7」とかかれたプラスチックの板が棒の先についています。32.7km付近なので丙号距離標で納得がいくんですが、見たことない形な上に胆振線の距離表がプラ製っていうのは信じがたいですよね。
サイクリングロードの脇に休憩所みたいなものがありますが、高欄以外は枕木を使っているみたいです。以前JR北海道広報課の方から伺ったんですが、日本の枕木って有毒成分が含まれてるんで譲ることはできないんだそうですが、これはまさか胆振線の枕木を使っているんでしょうか。廃線の雰囲気を出すためにホームセンターから買ってきたと信じておきましょう。
旧大滝村現伊達市大滝区の端までたどり着くとサイクリングロードは終わりです。ここから胆振線跡は草の中ですが、右手に見えるのは一体何でしょう?
小川を挟んで右岸に多径間、左岸に単径間の何か。両者の間にはたぶん橋があったんだと思います。ここから少し先に新大滝駅があるので駅の付属施設でしょうか。帰ってきてから調べたら引込線のコンクリート高架橋だそうです(村田正博、「胆振線」、今尾恵介、『新・鉄道廃線跡を歩く1 北海道・北東北編』、JTBパブリッシング、2010、p155)。
新大滝駅の跡地は再整備されてしまいマンションと公園になっていました。もちろん跡形も無しです。そしてなぜか写真撮ってきていませんでした。
新大滝を出た胆振線は広島峠を越えて胆振総合振興局を脱出です。胆振線という名前ですが実際に胆振を走る区間は半分ほどしかないんですね。
広島峠手前は地形図でみると徒歩道になってます。国土地理院によると徒歩道の記号は「登山、観光、レクリエーションなどのためによく利用される道路」「集落を結ぶ必要な交通路となっている道路」「主要な場所につうじている道路」のいずれかに当てはまっている道路だそうですが、地形図見た感じだとどれにも当てはまってる気がしないんですが。しかもど真ん中で線が途切れてるとかこの先不安過ぎます。
不安適中。徒歩道の入口に立ってみましたが、地形図さん話が違いますよ。道じゃないんですか。
before
でもいざ入ってみると藪のほとんどがイタドリかフキで良かった。何が良かったかというとイタドリもフキも葉は大きいものの本数自体は少なく、しかも倒しやすいため藪こぎしやすいんです。上の写真の所を倒してみたらほらすっきり↓。
after
峠を登ってるということでもちろん周りは険しい環境になってきました。この先落石止めもたくさん見ましたが、写真のように壊れているのもチラホラと。
路盤に沼が現れました。地形図先生、順調に話が違ってますね。手前の低くなっている方は土砂でせき止められ、奥の高くなっている方には沢が横切っているためこうなってしまっています。最も深いところでは膝くらいまで水が来る深さでした。
どこぞやのトンネルでも見たような「危い」のペイント。入口の脇にはなぜか工事現場でよく見る「徐行」の立て看板が落ちています。
ここで写真撮ってたら後ろの方でガザガサと藪こぎするような音が聞こえました。音は数秒で止んだんですが、まさかクマ?こんなところまで人が来てるわけないですよね。いつもつけてきているクマ鈴は今日忘れてきちゃったので、ノーサウンドで歩いてきたんですが、まずかったですよね。こうなったら「いやー疲れだー、トンネルあって良がったな、んでねトンネルでねがった落石覆いだったな、ハハハハー」と必死で独り言。相手がクマでも嫌ですが人でも恥ずかしい。
入口には金網が張られていたんですが、ちょうどチャリも入れるくらいの穴が開けられていたので相棒も無事通過できました。内部は退避帯のような小さな穴がたくさんある側壁でした。線形は倶知安に向かってごくごくゆるい右カーブ。
出口には金網はなく藪という大自然のガードが立ちふさがっていました。なぜならこちら側は高い木がなくよく日が差すんです。
藪こぎを始めてから初めての展望です。長流川支流の三階滝川とその左に国道が見えます。このおかげで今まで不明だった現在地もわかりました。
今立っている場所の足元の斜面は近年工事が加えられたようで、整えられた草地の斜面になっていました。それは別にかまわないんですが、斜面は本来の位置よりだいぶ削られてこの位置に落ち着いたようで、線路の跡は人ひとり歩く隙間を残してきれいに削り取られていました。
展望地を過ぎてからまた自分の位置をロストしているので地図の現在地は距離から求めたものですが、36.5kmの距離標を見つけました。やっぱりプラスチックなんですか。
またもや標識ですが今度は金属製で激しく錆びついてしまっています。橙を基調として左下にかろうじて「禁」の字が読み取れますが、なんの標識なのかはわかりません。詳しい方教えてプリーズ。
その後も出るわ出るわ、鉄道遺構がザックザク。そろそろ橋やトンネルがほしくなるところですが、地形図を見る限りおろえんトンネルまではなさそう。
それより大変なのが体の調子。歩きやすかった藪はいつの間にか笹と灌木に変わっており、少し進むのにも膨大な体力を使わざるを得ない状況になっていました。そんな中少しずつこみあげてくる吐き気&寒気。こ、これは……脳貧血だ。小学校のころから悩まされている脳貧血ですが、長い付き合いの中で初めて山の中で襲われました。しかも付いていないことに、舞いあげた植物の綿毛を思い切り吸引。ゲホゲホ!咳が、ゲホ!止まらない、ゲホゲホ!休み休み進みましたが、数m進むたびに休憩という状態になったため探索を断念。インジェクトすることに決めました。このとき現在地はわかりませんでしたが、右の下方から頻繁に車の音が聞こえたためここから下れば国道に出られると予想、一気に下ったら見事国道にあたりました。ドライバーを驚かせないように車のタイミングを見計らって道路に出て、現在地を確認。
↑この辺でした。いつの間にか切れた徒歩道のところも過ぎてたらしいですが、全然気づきませんでした。
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