胆振地方の伊達市大滝区には広島峠という峠があります。現在国道276号に指定されているこの峠の旧道は少し前まで車で通れたのですが、ここ数年で荒廃が著しく進み廃道化が急激に進んでいるので取り急ぎ見に行ってきました。
広島峠南側の旧道入り口。国道沿いに大きな駐車スペースがあり、そこから砂利道の旧道が延びています。
旧道に入り始めると道はなんら変哲の無いごく普通の砂利道です。左には小さな沢が流れており落ちないように古いガードケーブルが設置されています。
ほら来た。右から流れ込む沢が暗渠を詰まらせ道を削って流れ下っちゃってます。今日は自転車来てるのでこういうのはご勘弁願いたい。
左に水平に近いラインが見え始めました。感のいい人なら分かりますよね?
そうです。胆振線です。前ここ来ましたね。
鉄道と道路では対応できる勾配がぜんぜん違うのであっという間に胆振線は眼下に。
お?山菜取りですか。いいですなあ、僕も山菜とって帰りたいなあ。おっとそれ以前にここには車で来れるという大事なことが分かりますね。
車が入れたってことで、この先サミットまではきれいな砂利道が続いていました。
さあ広島峠の頂上までたどり着きました。旧道はここで現道に接近しますが交差はしません。
頂上付近は起伏が穏やかで牧場となっています。広島峠という地名は明らかにアイヌ語由来ではなく、道民ならば広島県の開拓団が拓いた土地だとすぐに気づきますよね?に広島県から60戸が入植したんだそうです。北広島市の開拓で知られる和田郁次郎の勧めで広島村に入るよう勧められましたが、既に良い土地が残っておらずこちらに入ったということです。しかしかなり山奥にある不便な土地ゆえか現在は無人地帯。無人化後も青々と牧草を茂らせていることで開拓者の苦労も報われましょうか。旧旧道は牧場の中を進み牧場の中でサミットを迎えていました。道路の建設は広島団体の入植と共に行われ、その証として現在もこうして広島の地名を地図に刻み付けています。
さて下りに入ります。峠の頂上というのは市町村境界になっていることが多く、特に日本海と太平洋を分ける分水嶺はほとんどがそうなんですが、この広島峠では分水嶺をまたいでいるのにもかかわらずどちらも伊達市大滝区です。珍しいタイプの峠なんですね。
見てくださいこの深さ。僕がミニチュアサイズなのではなく雨裂がでかいのです。
轍じゃないです、沢です。さっさと道を横切ってくれればいいのに延々と路面を削って流れ続けます。
でも悪いことばかりでなく道が抉られた結果、地面下に埋まっていた標石を見ることが出来ました。
楽しい下り坂はほんのわずかに終わり勾配がなだらかになりました。
倒木が処理されています。ってことはここら辺は車でこれるって訳ですね。
踏切跡の直後に小さな橋が架かっています。この橋現在は破損して通行止め。に来た時にはこんな看板が立っていました。そりゃ壊れるわな。
実際にはもちろん巨人が壊したのではなく経年劣化です。僕が始めて下からこの橋を見たからもう既にこの状態になっていました。
これで広島峠旧道は終了。現道もトンネルが無く、近年も中央分離帯の設置や拡幅が行われるなどまだまだ成長途中な峠道です。広島峠は度から改良工事が行われ手前の現道に置き換えられました。
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主要地点の地図
参考文献
- 大滝村企画財政課(編集)、『大滝村史』、大滝村、1985年
2017-08-01T11:03+09:00(JST)
去年か一昨年ぐらいにクルマ(ミラ)で通行した時にはここまで荒廃はしておらず、ヤブに車体を引っ掻かれるぐらいで難なく通れましたが、コレでは四輪車での通行は躊躇してしまいますね。