陣屋町駅ウォーキング

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道民の皆さん、陣屋町駅という駅の名を聞いたことはあるでしょうか。鉄ちゃんやジモッティでもなければほとんどの方は分からないかと思います。それもそのはず、この駅は一般旅客には無縁の貨物専用駅であり、しかも現在はほとんど使われていないということですから知らなくて至極当然なのです。今日はこの駅を散歩します。この駅、散歩できるほど長いんです。


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この赤い線が陣屋町駅の全体像。右の方で本線から分岐、隣の崎守駅まであと少しというところまで線路が延びちゃって、途中にはトンネルもあります。画像の横幅はおよそ3.6km。札幌駅のホームは一番長いところで300m、札幌貨物ターミナル駅で550mくらいということですからいかにデカいかお分かりいただけると思います。


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陣屋町駅の駅舎は本線から別れるその位置にあります。JR貨物が管轄し旅客の扱いは無いので中へ立ち入ることは出来ません。でも大丈夫。ここでは貨物の扱いはせずホームも何もありませんから。ちなみにかつては旅客を扱っていた時代があったのですが、その時代の駅はもう少し南に位置していました。詳しくは明日


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第2陣屋トンネルの坑口上から陣屋町駅を見ています。右の複線の軌道が室蘭本線の本線。中央左の白い建物が陣屋町駅舎。両者の間に錆の浮いた線路が1条敷かれています。錆た線路のこちら方はバラストを盛った第1種車止めで切られています。向こう方は本線と並んでカーブの向こうに消えます。並んでいる3本の軌道は渡り線でつながっています。


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しばし現在線と並行しますが、陣屋トンネル手前で切り離されます。


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陣屋町駅の陣屋トンネルは石造りの重厚なポータルです。


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トンネルの反対側。


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トンネルの直後に踏切があります。駅の中なのに構内踏切ではなくガッツリした踏切。名前は外港1号踏切、0k991のキロ程がついてます。ほぼ1kmということで1kmの甲号距離標も設置されています。


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そして車止めも設置されています。完全に死んだ線です。使う時だけ車止めはずすの?面倒くさい仕組みですね。


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車止めあるから絶対列車が来ないのは分かってますが念のため線路上には入らず外から見ていきます。線路は道路の山側に張り付いて並行します。


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その道路と線路が交差しまたガッツリ踏切です。名前は旧国道踏切。そう、この道路は国道37号の旧道です。どうりでこんな広いわけだ。と思って見ていると列車が通らないのを知ってか知らずか、3台に1台くらいの割合で全く一時停止せず素通りしていきます。ここに警察配置しておけば入れ食いだなあ。


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踏切の後も線路と道路は並行します。昔はこの辺で分岐があり近くの貯木場ら辺まで線路が伸びていました。現在は何もありません。でも『地理院地図』ズームレベル15から17にはなぜか今も載っています。


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また踏切です。新埠頭踏切。片側2車線の大きな踏切です。駅の中なのに。


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踏切の直後から線路が増えました。ここから線路が細々してきますので地図もスームアップ。


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ここに入換信号機が立っていましたが1灯も点いてません。死んでいます。向きもおかしいし。


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線路はまっすぐ行くと建物のシャッターの下に消えます。これは入換機の車庫だそうです。


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車庫の隣には「JR貨物 陣屋町臨港駅」と書かれた駅舎が建っています。陣屋町駅という駅の中に陣屋町臨港駅という駅があるんです。都会の大きな駅には駅ナカにデパート顔負けのお店やレストランとかあるそうですが、さすがに駅ナカに駅があるのはここだけでしょう。


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陣屋町臨港駅の裏からは大きく2本に分かれ、それぞれ山手線、海手線と呼ばれています。まずは山手線を見ていきます。現在山手線にはホキがたぶん26両とDD51 8両が留置されています。ホキは函館と釧路所属の2種類でどれも同じく800形。


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この辺には船を見に毎年来るんですけど、に来た時はバラバラの711系と24系、に来た時はホキと14系とDD51が留置されていました。なんかここ数年はこのように解体や輸出される車両が良く運び込まれるそうです。


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留置って言うか放置だね。前来た時パリッとブルーシートがかぶせてあったのに今は剥がれたまんま。でもそのおかげで全車両のカマ番が見えるぞー。ナンバープレートははずされてるけどご丁寧にマジックで書いてあるぞー。カマ番は手前からDD51 1095・1148・1138・1100・1093・1102・1143・1140号機。に8重連で回送されてきて話題になったやつらですね。列車の墓場みたいなこの場所に北斗星色のDD51がこんなに並んでいると、「あ~、ブルートレインの時代は終わったんだな~」っておセンチになります。


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山手線の線路が切れました。6本あるうち山側の2本はここで、中央の2本はもっと手前で終わっています。


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海側の2本は道路ぎりぎりまで迫っていました。


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最も海側の1本はお隣のヤードからウッドチップを貨車に積み込む設備があったはずですが撤去されていました。


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陣屋町駅の定期列車はここから白老町の製紙工場までを結ぶウッドチップの貨物列車がありましたが、にトラックへ転換され廃止されました。これによって陣屋町駅は全く利用されなくなり数年間廃駅同然の状態でした。


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続いて海手線のほうに行って見ましょう。


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海手線にはホームがありました。長さは70m。しかしこの海手線は一度も使われたことがないそうです。にしてはちゃんと草刈されてるし今すぐにでも使えそうですね。


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『名探偵コナン 銀翼の奇術師』っていうアニメ映画でこのヤードにジャンボ機着陸させてるんですけど相当無理あるね。確かに広いけど飛行機下ろすにはブッシュプレーンやVSTOL機じゃないと無理だと思う。


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ホームが切れると同時に海手線も終点です。しかし僕は知っています。ここを運営している室蘭開発という会社のサイトには「海手線 延長1,565m」と書いていることを!まだまだあるだろう!


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線路は続くよ、どこまでも!但しどこからどう見ても廃線。廃止されて久しいようで踏切以外は草に埋まっています。


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凄い埋まってるでしょ。でも写真じゃ絶対に伝わらないんだけど草の中を歩いていると確かにレールの硬さが足に伝わってくるんです。


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左のヤードにまた北斗星色のDD51がありました。左は無線アンテナの位置が特殊なので1083号機。真ん中は1142とペイントされています。右はノーヒントだけどホキと一緒に運ばれてきた1137号かな?


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別のヤードにはDE15 1521とタキ6両も留置されていました。ここは本当に列車の墓場ですね。


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この位置にはには海上からキハ40系、キハ141系、タキがあるのを目撃しています。キハたちは既に輸出されましたがタキはこの5年で全く動いてませんね。


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ヤード前から倉庫前に移るところでまた踏切。


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あっ倉庫の出入り口でレールが切れた。


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あっまたすぐに始まった。


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ってな感じで倉庫の出入り口の前を通るたびにブツブツと途切れまた踏切です。


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その直後でまた切れてまた始まります。この線路は何度輪廻転生を繰り返すのか。


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こんなに分かりにくいのに写真貼る意味あるんだろうか。写真じゃ全く伝わりませんがここで2本に分岐しています。


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ほら分岐の証にダルマがある。


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2棟目の倉庫の前を複線で通り線路は終わりました。ブツ切れじゃなくて車止めを以ってしっかり閉め切られています。


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の空中写真にはこの先にも線路が写っていますが現存しませんでした。


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臨港部分をまとめてみるとこんな感じ。画像の横幅は約1.4km。ここだけでも広大ですね。これだけの貨物駅が今ほとんど使われていないとはなんと勿体無い。しかし今は北海道における列車の最期の地としての地位を確立し始めているようで今後は鉄道ファンたちに愛される駅にかもしれませんね。


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主要地点の地図

参考文献

  • 『RMニュース』、2015-11-20、「【JR北+JR貨】ホキ800形12輌 室蘭港へ|RMニュース|鉄道ホビダス」(http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/life-topic/life-topic/1-0289539.html)
  • 『どうしんウェブ』、2016-07-06、「DD51形、迫力の8重連 室蘭港に到着 | どうしんウェブ/電子版(暮らし・話題)」(http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/life-topic/life-topic/1-0289539.html)
  • 『室蘭民報』、2012-02-04、「室蘭・崎守の貨物専用線、廃用貨車輸出に4年ぶり利用」(http://www.muromin.co.jp/murominn-web/back/2012/02/04/20120204m_03.html)
  • 室蘭開発株式会社、『室蘭開発株式会社』(http://www17.plala.or.jp/murokai/)

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