去る2013年4月8日、津軽海峡フェリーが運航するフェリー「ばあゆ」が引退し、新造の「大函丸」へと代替わりました。
ばあゆが運航してきた大函航路（大間-函館間、ノスタルジック航路）は1964（昭和39）年から定期フェリーを走らせている歴史ある航路で、ばあゆは初代から数えて7代目のフェリーでした。

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初代を運行した道南海運は1938（昭和13）年12月、奥尻島で産声を上げ後に函館へ移動、奥尻島や津軽海峡の航路を運行した会社でした。フェリーの運航を始めたのは1964（昭和39）年。昭和30年代といえば自動車が爆発的に普及した時代。当時は津軽海峡にフェリーは早すぎるとの声もあったようですが、モータリゼーションの大津波は津軽海峡の荒波をも打ち砕いて押し寄せて来ました。実際のところ計画段階では車の乗らない客船だったのですが、大函航路にフェリーを走らせようと目論んでいた青道フェリーという会社に対抗して、急遽フェリーに変更したという節もありました。

津軽海峡のフェリー元年を飾り、ついでに外洋フェリー日本初の称号もかっさらった初代のフェリーの名は「大函丸」。このほど新造されたフェリーと同名ですね。1964（昭和39）年6月27日、修学旅行生を乗せた試験航海を行い、同年7月2日から定期運航を開始しました。

翌1965（昭和40）年、道南海運は青森県の青道フェリーと合併して東日本フェリーへと生まれ変わりました。大函丸と大間航路は東日本フェリーへと引き継がれ、合併直後の7月23日には第2大函丸就航させ運行を続けました。フェリー事業は好調であり、1968（昭和43）年6月3日第3大函丸、1969（昭和44）年7月19日第5大函丸、1970（昭和45）年5月27日第6大函丸、1971（昭和46）年7月27日第7大函丸と年1隻ペースで就航させていきました。第4を飛ばしたのは縁起の悪い数を避けたのかな？大函航路の増便ラッシュは収束を見て、18年を隔てた1988年の「ばあゆ」就航、更に25年後の今年2013年に大函丸が就航し今に至ります。会社はばあゆ運航時代の2008（平成20）年12月1日に道南自動車フェリーに移り、2009年11月1日に津軽海峡フェリーに社名変更となりました。

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初代大函丸はコンテナ船に改造され1969（昭和44）年11月1日から青函航路を中心とした貨物輸送を担い、1971（昭和46）年10月7日函館市大鼻岬沖で座礁して失われました。第2大函丸は1971（昭和46）年売船、第6大函丸は1977（昭和52）年5月売船、第7大函丸は1975（昭和50）年3月売船。第3と第5大函丸はばあゆ就航直前の1987（昭和62）年まで運航してたようです。

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さて、この航路の歴代の船たち。就航年が最も短い第7大函丸で4年、最も長い第3大函丸で19年でしたが、この度引退するばあゆは最長記録を更新し25年の長きに渡り活躍してきました。2008（平成20）年、東日本フェリー（現在の津軽海峡フェリー）は老朽化を理由にばあゆを引退させ、大函航路からも撤退を表明していました。しかし大間町という所は青森県でありながら県庁所在地青森までえらく遠いため、通院などはフェリーで函館に……という方が大勢居ます。現在のフェリーのダイヤが、大間町民が函館に日帰りするのにちょうどイイカンジになるよう配慮されているのもそのためだと思います。「函館市大間町」とも比喩され、フェリーが路線バスと同じ存在の大間町民にとって、フェリーの廃止は死活問題であり検討会が組まれ協議されてきました。その結果大間町が船を建造し津軽海峡フェリーが運航、赤字分は函館市が最大2,000万円まで支援するということで航路の存続がけっていしました。そうしてお目見えしたのが大函丸です。

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大函丸は内海造船瀬戸田工場で造られ2012年12月13日に進水。4月18日から就航します。総トン数1985トン。函館と大間を1時間30分で結び、1日2往復する予定です。大函丸についての詳細は過去の記事をご参照ください。

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