今日は大間港に於いて新造フェリーの見学会があるので参加します。本州最北端大間崎のキャンプ場で目を覚まし時間までゆっくり朝飯食べていたら時刻は。フェリー入港15分前!急いで出発して港まで立ち漕ぎで向かうと沖合いから近づくフェリーと追いかけっこ状態。
僕が港に着いた時には船は接岸直前でした。見学会が催される新造フェリーはこの大函丸。津軽海峡フェリーが函館-大間間で運航するカーフェリーです。大函航路はかつては北海道と本州を結ぶ大動脈でしたが、その機能が青函航路に移ってからは大間町民のためのローカル路線みたいになっています。前任のフェリーばあゆが引退すると同時に航路も廃止となるとされていましたが、フェリーを大間町が建造するということで存続が決定しました。
総トン数1985トン、全長91m、定員487人、積載可能車両は乗用車60台またはトラック21台。コールサインJD3422。IMO番号9659141。MMSI番号431004277。発注が大間町だからなのか船籍は大間。内海造船瀬戸田工場で造られに進水。建造費26億400万円、うち青森県が5億円を負担、鉄道運輸機構から5億円を借り入れ。
大函丸という船名は、大間町で公募された173点から選ばれたもの。およそ半世紀前初めて大函航路を走ったフェリーと同じ名前に先祖がえりとなりました。2013-04-12追記 大函航路の歴史についてはこちらを参照してください。
入港してきた大函丸を沢山の大量旗が出迎えます。さすがマグロの町大間。喜びの表現方法も漁業風。
接岸した大函丸の車両甲板で式典が催されえらい面々がテープカットをしました。この後見学会が始まります。
ばあゆには無かった船側のランプから車両甲板に入り見学会が始まりました。
向こうには車椅子のマークがありそのそばが客室へのエスカレータ入り口。車椅子用スペースもエスカレータもばあゆには無かった設備ですね。大間から函館の病院まで通っている方がかなりいらっしゃると聞いているので喜ばしい進化。
船室の配置はこう。今まで一等・二等と言っていたのはファースト・スタンダードに改められ、間に1.5等に当たるカジュアルという謎の席が設けられました。他に「ドッグ」「ファミリー」「バリアフリー」という聞きなれない部屋が新設されています。船体がばあゆより大きくなり、「ベンチ席」という用途不明のスペースを廃したことにより、細分化する客のニーズに応られるようになりました。
左:ファストシート、右:カジュアルシート。観察力の無い僕にには席の密度ぐらいしか違いを見出せませんが、近くに居た中学生は「カジュアルの方がいい!」だそうです。料金はファーストの方が高いんですけどね。
こちらはスタンダード。今までの2等に当たるのでザコネです。右の方は3階にある船室で前面展望が臨めます。
左:レディースルーム、右:ファミリールーム。どちらもスタンダードの料金で乗れる女性専用と子供同伴者優先です。なんかどちらも一生僕には関わりの無さそうな席です。
これも僕には関係なさそうなドライバーズルーム。トラックドライバー専用の部屋。フェリーに乗ると良く見るドライバーズルームの文字ですが、その場所は他とは隔絶されていて中を見るのは初めてです。
わんこの船旅は車の中に置いてけぼり。津軽海峡フェリーではブルードルフィンからそんな時代は終わりました。こういう部屋を用意したということは大間町民のローカル路線だけでなく観光路線としての活用も視野に入れてるのでしょう。中の写真?そうさ、間違って消しちゃったのさ!
ファーストの乗客も指をくわえるようなスペースが確保されたバリアフリールーム。介助とか見たことも無いので何に使うのかさっぱりですが、ベッドっぽいものもあります。
飲食・談笑・闇の取引・あんなことこんなこと色々出来るフリースペース。テーブルがマグロ。
最後に普段公開されない操舵室。オジさんたちが人だかりを作り、船員と可変ピッチスクリューやフィンスタビライザーの話で盛り上がってました。ここは大間、船に興味の無い男がいるはずありません。
見学会を終えて外へ出てみるとばあゆが入港してました。ばあゆは大間発函館行き(5便)を最後に引退し、しばしの沈黙を置きに大函丸が就航します。入れ違いになるので2船が同じフレームに納まるのは珍しいことになります。
函館どつくでは見知った船が法定検査してました。これぞ正にどつく入り!お後がよろしいようで。
2013-04-08追記
蛇足ですが上でばあゆの引退はと書きましたが実際はもっと早かったみたいです。写真は引退予定の過ぎに函館港外で停泊するばあゆ。この時間ここにいたら最後の便となる大間発に間に合いそうに無いので最後の打席はまさかの盛大な空振り三振。ついでにラジオによると昨日は大荒れのため終日欠航。Wikipediaを見たら終航がだったようで。計らずも大間発の最期の便に乗れたみたいです。
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参考文献
- 東日本フェリー株式会社企画室、『社史 創業より二十年』、東日本フェリー株式会社、1986年
- 『函館新聞』、2013-01-19、「津軽海峡フェリー「大函丸」4月18日就航」( http://www.hakodateshinbun.co.jp/topics/topic_2013_1_19.html )
- 『YOMIURI ONLINE(読売新聞)』、2012-12-14、「大間と函館結ぶ新フェリー進水式」( http://www.yomiuri.co.jp/otona/news/20121214-OYT8T00377.htm )
- 『函館新聞』、2012-06-23、「大間航路 新造船名は『大函丸』 『函館の名入り』市も歓迎」( http://www.hakodateshinbun.co.jp/topics/topic_2012_6_23.html )
- Equasis、『Equasis – Ship folder DAIKAN MARU』(http://www.equasis.org/EquasisWeb/restricted/ShipFop?fs=ShipInfo&IMO=9659141 ※要ログイン)
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2015-04-10
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新URL:https://morigen.net/blog/?p=5831 - 2013-04-12 本文中に追記
- 2013-04-08 本文中に追記