二十歳の誕生日祝いに20個トンネル行く(1日目)

いつもトンネルに付き合ってくれる後輩がめでたく20歳になったのでお祝いに20個の香ばしいトンネルに行くことにしました。土日をかけて20個回るんですが、2日あってもちょいと厳しいんで金曜の深夜に出発、今日は夜明けと同時に1個目に向かえるようにしました。


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最初のトンネルは渡島半島の東側、太平洋に面する亀田半島の岬の一つである銚子岬。国道278号が銚子トンネルで付け根を貫くこの岬ですが、縁をなぞる国道の旧道上にある2つのトンネルに行きます。銚子トンネルの銚子町側坑口近くにはサーファーたちが集ってる駐車スペースがあったので、そこに車を止めて入っていきます。


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旧道入口の柵を越えるといきなり地面はグッチョグチョ。まだ今日は長いというのに1つ目のトンネル前に靴を濡らすのは避けたい!


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また柵が現れました。


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でた、橋!地形図には載っていませんが小さな入り江をまたぐ単径間コンクリ桁橋がかけられています。銘板は1枚が破損、残りの3枚も字が薄れてほとんど字が読み取れません。旧道・廃道 「廃報アーカイブ」(旧新潟廃報)さんによれば橋の名前ははなえ橋。


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この後こんな感じに路面崩壊した風景が延々と続きます。延々と……。


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うわーすげー。雰囲気は海賊のヒミツの入江って感じ。小学生の頃にこんな場所知ってたら絶対秘密基地作ってたと思う。


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岸には船上げ場の様な斜路がついてますがかつて漁村でもあったんでしょうか。


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陸の方には廃墟が1棟。中はトイレでした。


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そんなことより今日の目的はトンネル!


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その名はカムイトンネル。内部は素掘りに吹付工が施されています。隧道データベースでは

銚子トンネル開通により廃止、近年隧道は閉鎖された

となっていますが、『北海道の道路トンネル 第1集』では椴法華村道に指定されていることになっているので、銚子トンネル開通後は村道に降格されて供用されていたのではないかと思います。


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カムイトンネルを出ると半ば自然に帰ってしまった単調な道が続いて次の屏風トンネルに繋がります。


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屏風トンネルの古部町側の坑口は人為的に土砂が積まれて閉鎖されています。
トンネル後はまたケモノ道チックな所を進み現道に合流。帰りは後輩の要望により現道の銚子トンネルを歩いて戻ってきました。銚子岬の旧道で通ったトンネルは2つ(現道は香ばしくないのでノーカウント)。目的数の2/20が終わりました。残り18個。


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今日は(っていうか最近ずっと)霧がたれ込めてましたが、天気予報通り時々晴れ間が見えるようになってきました。さっき歩いた銚子岬を離れてからコンビニで朝飯を済ましてきたんで、第二ラウンド日浦岬行ってみましょう。


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ってなんで歩こうとすると霧出るかなあ。別に構わんけどテンション下がるよ。
日浦トンネルの旧道は日浦岬の沿岸を抜けるものでした。岬の東側は漁港として人気がありますが、トンネルがあるのは廃道となっている南側。岬の先端付近から入っていきますが、スタートは写真の掘割チックな地形。これは人口地形でしょうか。もし人口ならこここそトンネルにすべきじゃなかったんですかね。


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掘割チックな地形で岬の先端をやり過ごすと右にコンクリート舗装と柵が見えてきました。


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この柵、林道ゲートのように開閉するの物でなく完全に固定されて破壊しない限り開かないようにされていました。もし現道が不通になっても旧道を迂回ルートとして開く気は無さそうですね。


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柵を抜けるとトンネルは香ばしいトンネルはまだ見えないけど、なんか一段と芳しい廃道臭する。


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最初は朽ちかけの橋梁。後輩はトントン拍子で渡って見せましたが、朽ちかけてるせいで橋梁に乗るまでが大変。橋の手前がほとんどなくなっていてなかなか登れないし、登ったら登ったで穴のあいてる路面怖いし。


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橋の先はの道は波際の岩場の上に作っていたらしく、既に浸食されてしまったところも多々あります。


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さて日浦岬最初のトンネルが見えてきました。


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原子7号トンネル。素掘りで路面には水がたまってタイドプールになってます。隧道データベースによれば舗装は無しなので往時からこんな凸凹道路だったんでしょうか。砂利ぐらいは敷いてたのかな?


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7号トンネルを出ると次の原木6号トンネルが見えてますよ。


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6号トンネルの日浦町側坑口前は、路面の下を埋めていた土砂が洗われて海水がザバザバとしぶきを上げる入江になってました。


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トンネルに入ってみると結構長ーい。


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トンネルの途中には海方向に大きな亀裂が走っています。亀裂の壁は角が取れ滑らかになっているのでトンネルが掘られる遥か昔から開いているのでしょう。


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原木町側坑口には金属製の覆道があったようでしたが写真のあり様。トンネルを出た所で後輩が遠くを見つめてますが……


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外はこのあり様。通れんのかよ……。


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海側は歩けるスペース無し。山側は完全に崖。真正面から登っていくしかなさそうです。


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浮石が多く一人ずつ通過。かつての路面より2mも低い場所からシェッドの屋根の高さまで登ってようやく越えられました。


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スパイダーマッ!シェッドの先では路面が完全に消失してるのでしょうがなくダーマしてます。


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壁に張り付いて進んだ先に次のトンネルがありました。トンネルの名は原木4号トンネル。さっきのトンネルは6号でしたが、5号は隧道データベースによると1966(昭和41)年頃に開削されたようです。


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形は残ってませんが、4号トンネルの前後には6号のようなシェッドがあった様です。


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トンネル内はいたって普通の素掘りでしたが、トンネルの向こうがカオスの予感。


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路面を完全に覆う土砂崩れ。海側から巻こうとしましたが、やっぱり行けず土砂を登って突破しました。


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土砂崩れの向こうには原木3号トンネルが見えますが、その手前は路面が流されトンネルとの間に大きな段差ができてしまっています。


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人の背丈を越えるような高さですが先人のロープがかけられているのでお借りさせていただきました。


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3号トンネルの内部は素掘りに鉄の骨組。


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3号の出口からわずかな明り区間を挟んで原木2号トンネル。3号と同じく素掘りと骨組み。


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2号の後はまた僅かな明り区間とその向こうに原木1号トンネル。


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1号のアーチは崩れ落ちて大分薄くなってしまっています。そのうち自然に掘割化してしまうんでしょうね。


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日浦岬のトンネルは7号から6、5と番号を減らして1号までくぐりました。日浦岬の廃道はもう少し続きますがトンネルはもうないので来た道を戻って次のトンネル求めて移動します。


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次のトンネルは日浦岬のお隣さんの岬。ここを通る国道は戸井トンネルで貫通していますが、戸井トンネルの旧道である戸井隧道が目的のトンネルです。写真の右に見える覆いをかぶったトンネルが現道の戸井トンネル。左の少し高い位置に掘られているのが旧道の戸井隧道です。


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扁平な断面。高さは4mほどしかありません。


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中は坑口付近にだけ鉄骨の補強が入れられていました。写真は感度を上げて撮っているためトンネルの先が閉塞してるのが見えますが、肉眼では近づかないと暗くて見えません。


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という訳で閉塞してました。閉鎖のために盛られたのかと思いましたが、上に大きな空洞ができてるので崩落したっぽいです。


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がれきの上に登るとなおも先に進もうと隙間に入っていく後輩。死にたいのか、と思ったら、


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貫通してた。


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新二見町側の坑口は外に土が盛られているため水が溜まっていました。


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浜町側のように鉄骨が入ってますが、坑口から少し距離を置いています。


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トンネル出たら民家の庭っぽくて焦りました。帰りは崩落地点を通るのが嫌なので現道の戸井トンネルを通って車に戻りました。


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次のトンネルは以前来た戸井線のトンネル。このトンネルについては以前の方の記事をご覧ください。前回の訪問からまだ2箇月しか経っていないので目立った変化はありませんでした。


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そしてトンネルの先は以前来た時途中であきらめたトンネル。今回はトンネル大好きっこの後輩が一緒なので怖くないモン!


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やはりカビ臭くて先は真っ暗。奥に進むと僅かに生えてる雑草も無くなり、いよいよ生物の住む世界じゃなくなってきました。


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いや、生物居た!純、蛍、キツネ!ルールー。キツネはこっちを警戒しながら壁際をダッシュで逃げてきました。


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奥になればなるほど地面に土が積もっていましたが、誰も歩いてないせいでフカフカの状態で残っていました。多分次に人か来る時まで僕たちの足跡残ってると思います。トンネルの最も奥は写真の崩落。いや、切羽かもしれません。写真で後輩も撮影してる僕も側壁に寄っているのは真ん中によると靴が埋まっちゃうから。それぐらい地面がフカフカしてるんです。


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振り返ると出口からこれぐらいの距離。以前一人で来た時の倍位でした。って言っても自分にしか分からない。


ここまででトンネルは10個。のこり半分。今日の今までのトンネルはすべて亀田半島沿岸部でしたが、これから松前半島に向かいます。両半島の真ん中には函館市街がありますが、通過時刻にちょうどお昼だったんでラッキーピエロでハンバーガー買って、函館住みの仲間の家へアポなし凸してきました。音楽なのゲームなのの話で盛り上がったり、行ってきたトンネルの写真見たりしてたらあっという間に2時間が経ってました。あんまり長居してると20個行けなくなるのでぼちぼち出発。


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次のトンネルは松前線のトンネル跡。千軒駅と渡島福島駅間にいくつかあったトンネルの内の福島トンネルです。長さは1110mで松前線で2番目に長いトンネルでした(ちなみにトップは白神トンネルで2980m)。千軒側の坑口は写真の位置から左に軌道跡を進みます。


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軌道跡は歩きにくくなるような藪がなく、簡単にブラックホールの様な坑口が見る事が出来ます。


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トンネルかと思ったらシェッドでした。外から見ると中は暗いですが、入ってみると存外明るかったりします。おしゃれな人ん家の間接照明ぐらい。しかし植物が生きるには光量不足なのか雑草がは無し。側壁に僅かにコケが生えてますが湿度は高くなくカビ臭くありません。ゆるい谷地形で風の通りもいいし、秘密基地にぴったり。世界征服をお考えの悪の組織の皆さま、こちらに秘密基地を建ててはいかがでしょう?


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シェッドの形は途中から変わってました。そしてトンネル本体の坑口は残念ながらコンクリートで閉じられてます。
トンネルには入れませんでしたが、20個のトンネルとして数えるかどうかの基準は香ばしいかどうかなので、このトンネルは12個目として数える事にします。ただもう片方の坑口も見たいので次はこのトンネルの反対側に行ってみます。


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福島トンネルの渡島福島側の坑口は車で林道を終点まで走った後少々歩きます。歩くところには写真の様な道標があります。


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歩き始めて間もなく巨大な橋が見えてきます。これも松前線の橋の第一福島橋梁です。記念や遺構、文化財として残しているというより、周辺を深い山に囲まれているため撤去できないという感じではないでしょうか。


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途中から道を外れ枯れ川を歩きます。ピンクテープが張ってるし途中からは鮮明な踏み跡があるので迷うことはないでしょう。


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見えてきた見えてきた。3径間の桁橋。塗装記録表によると名前は深雪沢橋梁。


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深雪沢橋梁と第一福島橋梁の間はトンネルがありました。ポータルにはうっすら「茶屋沢」と読めるペイント。


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深雪沢橋梁を渡って福島トンネル側に行くともうひとつ3径間の桁橋がかかっていました。塗装記録表は見てないので橋梁名はわかりません。正直言って深雪沢橋梁の塗装記録表も見てなくて、撮った写真にたまたま写ってただけだったんですけどね。


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名前のわからない橋梁を渡って福島トンネル側に来たら立派な看板が立てられてました。

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そして福島トンネルの渡島福島側坑口。もちろん閉鎖されてます。
こちら側の新たなトンネルは茶屋沢しかありませんでしたが、香ばしくないのでノーカウント。よって数は変わらず12個。今日のところは帰り道に時間がかかるのでトンネルめぐりは終わりにしましょう。さて明日は残りの8個のトンネルを回ることができるんでしょうか。

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