国道418号と言えばその道の人たちの間では有名な「酷道」なんですが、2016年に下流に新しいダムが完成し水没する予定なので今日は先輩と走り収めのためによりました。走り収めとか言っておいて酷道区間を走るのは初めてです。
上の地図で木曽川の河岸に沿って走る道が国道418号。右下から五月橋を渡って国道418号に接続するのが岐阜県道352号大西瑞浪線。地図の右の外には笠置ダム、左の外にはこの前行ったばかりの丸山ダムがあり、この間が一般に酷道区間といわれているところです。
県道352号からスタートして五月橋を渡り国道418号に合流。ここから下流方向に旅足橋まで行くというのが今回のルートです。
県道352号の車両通行可能区間を北まで詰めてここから自転車になります。まだ1mも走ってないというのに先輩の自転車にパンク発生。去年の夢想アタックといい、先輩のチャリはパンクがデフォですかw
最初のうちだけデリニエータがあって県道の雰囲気を醸し出してくれます。僕の嫌いなガレた道が続きますが、先輩はこういう道が好きでして写真撮る暇をなかなか作れません。
途中には茶店跡といわれている廃屋があります。「玉田」を「金玉」にするセンスから察するに、小学生もここに来ることがあるようです。
高欄にはなぜか筋肉マンの彫り物。やっぱり小学生が来てること間違いなし。
ケーブルバンドの隙間にはボルトがはまっていたりいなかったり。はまっているところも大体抜けかけていたり何のために刺さってるんでしょう。
それからワイヤクリップの付ける向きが完全に間違ってます。よくワイヤクリップの使い方の間違った例のイラストで、こんな風に付けているのを見ますが、実際に間違って施工しちゃったのは初めて見ました。
何気にシンブルの径も小さすぎる気がします。てかシンブル入ってねんじゃね?
国道418号側の端っこは直角右カーブになってるんですが、カーブに合わせて橋も右側が広がってます。どこかのサイトで読んだんですが、五月橋ってオート三輪が通れるように設計されたんでこのようになったんだそうです。現在は人ひとり分の幅しかありませんが、1975年度の航空写真を見るとこの↓通りゆったり広々。
五月橋を渡ってからは7~8分登って国道418号に合流です。交差点には県道の起点であることを示す道標が見えます。
先程の交差点すぐの場所に国道418号と町道の交差点があります。
この散策の前に先輩が一人でここら辺まで自家用車で入ってきたということなので、この先の安全は保障されたも同然。
ただしトンネルだけは何度通っても苦手なんですよね。って先輩、オイテカナイデ。
この二股トンネルの更に川側には素掘りトンネルもあるということですが、今回は行きませんでした。
なんか急に天気悪くなってきました。今ポツポツと雨降ってます。雨の中、今散策の終着点「旅足(たびそこ)橋」。Wikipediaに色々書いてる通り、日本で唯一、世界でも5例しかないというレアな代物。何がそんなに珍しいかというと、メーンケーブルが補剛を直接吊っていて、Florianpolis橋型とかいうらしい。
これはDavid Bernard Steinmanが考案したという型式。同じ型式の他の4橋を探したところ、Hercilio Luz Bridge、Silver Bridge、St. Marys Bridge、Walter Taylor Bridgeだそうです。Silver BridgeとSt. Marys Bridgeは崩落・解体されているので旅足橋は世界で3橋だけの現存するFlorianpolis橋型吊橋ということになります。なんだか急にありがたく思えてきましたね。
吊橋の旅足橋が架かる以前はダム湖もなく、小さな木橋が架かっていました。1952年、丸山ダムの建設に際した道路の架け替えにより現在の旅足橋が建設されました。この前年にSteinmanは論文でFlorianpolis橋型の耐風・耐震性・経済性を主張しており、この論文をもとにして試験的にFlorianpolis橋型の吊橋を架橋したと考えられているそうです。
しかしながら現在ではこの程度の小さな規模の橋は他の形式にとって代わられ、大規模な吊橋にはFlorianpolis橋型の特殊な構造は必要ないため全く建設されなくなったんだそうです。
旅足橋の諸元 | |
橋長 | 122.6m |
有効幅員 | 4.5m |
支間 | 114m + 10.6m |
型式 | 下路型単径鋼補剛トラス吊橋[フロリアノポリス橋型] + 鋼板桁 |
活荷重 | 2等橋 9t 床組 1等橋13t |
サグ | 11.2m |
サグ比 | 1/10 |
主構間隔 | 5.3m |
揺動塔高 | 14.15m |
19本 ×径44mm(7本より線) | |
鋼重 | 本体:181t ケーブル:63t |
床版厚さ | 17cm |
舗装厚さ | 3cm |
この記事の情報
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主要地点の地図
参考文献
- 山根巖「岐阜県八百津町「旅足[たびそこ]橋」について 我が国唯一のFlorianpolis橋型の吊橋」(『土木史研究』16号、1996年、pp.531-540)
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