そう、あれは僕が袋澗にゾッコンだったでした。片っ端から袋澗をめぐっていた時、欠番25の袋澗の前で足が止まりました。場所は島牧村字原歌町。蒲原磯という広い礒のある崖の迫った海岸でした。
右の写真外に欠番25の袋澗があるんですが、僕が目を留めたのは陸の方。道路脇にある写真左の崖です。夏に通った時には全く気付きませんでしたが、枯れイタドリの向こう側に見えるのは紛れもなく穴ではないですか。これはよく見てみねば!とは思ったもののこの時は袋澗めぐりの途中だったのでなくなく断念。まあ見るからに小粒ネタな感じなのでいつか暇が出来た時に来ようと決めて現場を後にしました。
『橋梁現況調書』を開いてみると蒲原礒には、小さなトンネルが3つ存在しています。名前は「蒲原礒1号」・「蒲原礒2号」・「蒲原礒3号」。現在付近には「原歌」・「植車」・「穴澗」の3つの覆道が築かれており、普通に考えてみればトンネルはオープンカットされたと予想されます。しかし僕が見たものが本当に穴だったらその予想はうれしい方向に覆されます。はたしてあの穴は何だったのか。
時は流れ、その暇とやらがやってきました。夏はイタドリの繁茂を予想してこの季節の訪問。今なら藪なんか怖くない。
というわけで見えていた物はやはり穴。トンネルです。坑口は単管の柵で簡易に閉鎖され、工事現場でよく見る「関係者以外立入禁止」の標識が掲げられていました。廃トンネルに関係のある人って何なんだろう。
素掘、幅4.5m、高さ3.8mぐらい。左右の壁面近くは崩れてきた土砂で崖錐ができています。うーん、反対側の光が見えないということは、閉塞かあ。でも分かる範囲のスペックは『橋梁現況調書』の蒲原磯1号トンネルのそれに一致しています。1号はオープンカットされていなかったんだ!
坑内は水没してて入れませんので、反対側を見に来ました。閉塞しているから当然入ることはかないませんが、まさかそれらしきものも見つけられぬとは。さっき見た感じだと崩落じゃなくて埋め戻しだと思うんですが。
1号が残っているなら2号・3号も期待しちゃいますね。じゃあ見てみましょう。まずこちらが2号疑定地。埋め戻しだとしたら左の土の中。オープンカットだとしたら右の覆道。どっちにしたって残ってないです。ちなみに3つのトンネルの位置は現在の覆道の位置に対応してそうですが、そうではなく1号は覆道なし、2号は原歌覆道、3号は穴澗覆道になっています(1号以外は僕の推測です)。
では3号はというとこの通り。やっぱり残っていません。藪に分け入ってまで探しましたが無かったです。
蒲原礒のトンネルがすべて消えてしまったと思っていた全国1億人の蒲原礒トンネルのファンの方々、いかがでしたか?道路のすぐ脇に誰にも知られずトンネルは残っていたんですね。
2018-01-12T16:49+09:00(JST)
1号トンネルは何年か前まで瀬棚側坑口も開口していましたね。
延長5mぐらいのコルゲートアーチの覆道が付属していました。
2018-01-13T05:23+09:00(JST)
さすが日本一早い情報屋さん梨野舞納様ですね。
Googleストリートビューで最古の画像(2014年8月撮影)でも既に坑口は消滅していますので結構前に埋められてしまったようです。
コルゲは残骸すら見当たらなかったので撤去されて埋め戻したのでしょうね。
2018-01-15T08:09+09:00(JST)
海豹舎『北海道いい旅研究室7』(2004年8月発行)52頁に、開口していた当時の1号トンネル・コルゲート覆道の写真が掲載されていました。
図書館等で見掛ける事がありましたら、ご覧になってみてください。
2018-01-23T23:38+09:00(JST)
返信遅くなりました。
今日図書館行って『北海道いい旅研究室7』拝読しようと思いましたが、今道立図書館臨時休刊中なんですね。
なのでAmazonnでポチッ。
届くのが楽しみです。
2018-01-28T21:15+09:00(JST)
もう届いた頃でしょうか?
期待外れだったら申し訳ありませんm(__)m
2018-02-01T21:10+09:00(JST)
無事届きました。
が、今職場でインフル大流行中でして、
幸い僕はかかっておりませんので仕事が回ってきちゃって全く読めていないです。ごめんなさい。
次の休みまでお待ちください。
2018-04-29T20:15+09:00(JST)
余りに期待外れだったのでコメントのしようが無かったのだろうか、と些か心配になっております(^^;
もしかして体調の方が余り宜しくないのでしょうか?
2018-07-24T22:42+09:00(JST)
大変遅くなりました。いろいろ言い訳はできますがご期待を裏切りましたことを深く謝罪いたします。
体の方まで気にかけてくださったのに……申し訳ありません……
何かと忙しい中、何とか読ませていただきましたよ。
会社も編集者も聞いたことのないない雑誌でしたが予想通りマニアックな内容ですね。そしてまあ癖の強いこと強いこと。
そして例の写真。
確かにコルゲのトンネルがデカデカとのっていますね。
土被りが薄すぎて天井が崩落して光がさしていますが間違えなく2004年には貫通していたんですね。
お知らせいただきありがとうございました!