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大夕張、隠れJKT

とあるぽかぽかの日曜の昼下がり。お腹いっぱい眠りに落ちそうな薄い意識でネットサーフィンしていたら、すんごい物見つけて眠気ぶっ飛びました。北海道各地の産業遺産を探索されている『廃。』さんの1ページに見覚えのある橋が見覚えのない場所に架かった写真が!そうJKTですよ、99式重構桁鉄道橋。目の肥えた管理人さんもしっかりJKTだと見抜いてらっしゃる。もし気付かれなかったら今も僕に知られていなかったろうね。


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ダムに沈んだ大夕張を過ぎ、夕張川の支流パンケホロカユウパロ川沿いの林道を3kmくらいで目的の橋に到着。この橋に差し掛かる道は直前でカーブしており自然と路面下のトラスに目が吸い寄せられます。こんなに見つけやすいのになんで今まで誰も教えてくれなかったの!


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銘板によると「かとりはし」という名前だそうです。川の名が香取沢だから漢字表記もきっと「香取橋」でしょう。完成年の不明な小巻沢林道橋と違いこちらは銘板から1967(昭和42)年8月に竣工したと見られます。


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路面は泥が薄く積もりまるで土橋ですが、下にレールの床版が覗いています。ここは小巻沢林道橋と同じ。上に落ちている小さな鉄板の用途は分かりません。これも小巻沢林道橋と同じく木を敷いてそれを留めるための金具だったのかもしれません。


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川に下りました。支間長が短いので見ての通り1段。パネルの数から橋長は15.5m。


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森林鉄道の第5号・6号橋、そして道路橋の小巻沢林道橋までもすべて3列の使用でしたがこれは6列です。1列の幅は0.5m。6列並べれば3.0m。これは真ん中に隙間があるし路盤のレールもオーバーハングしてるから有効幅員は4.0mほどありそうです。これだけの幅があればダンプカーなどに用いられる大型のトラックも通れるし耐荷重も単純に2倍。


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問題はこのJKTは一体どこからやってきたかってことです。この辺でJKTといったらなんと言っても森林鉄道。JKTはそう簡単に手に入るものじゃないから香取橋も森林鉄道からの転用だと思います。その森林鉄道に導入されたJKTは4橋8連だそうです。大夕張ダムの付替えや林鉄の廃止により現存しているのは森林鉄道夕張岳線第5号と6号の3連だけ。20m桁3連と14m桁2連の計5連の行方は分かりません。


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行方不明5連のうち20m桁の一つが小巻沢林道橋にまわされたなら残るは20m桁・14m桁が各2連。15.5mの香取橋の桁とは長さが合いません。それにもとは林鉄で使われていたわけだから行方不明の桁は3列であったはずですから6列の香取橋とは幅も違います。ここでピン接合されたJKTの必殺技「ばらして組み合わせる」を使えば15.5mの桁を6列造り上げる事ができます。JKTの端のパネルは長さを調整するため1m長と2.5m長の2種類があり15.5mの桁を作るためには2種類とも使う必要があります。一方14m桁では1mの部材だけ、20m桁では2.5mの部材だけで出来ています。何が言いたいかというと、香取橋が出来る1967(昭和42)年に新たにJKTを探してくるわけが無いだろうから香取橋が森林鉄道からの転用だとすると、行方不明になっていた5連は少なくともこの時まではすべて夕張の営林署かどこかでずっと保管されていた可能性があるってことです。そのうち残りのパネルが倉庫の奥や資材置き場からごっそり見つかる日が来るかもしれません。


さして意味のない動画。動画のくせにほとんど動きません。せっかく撮ったのに全く使うタイミング無かったけど見せびらかしたくて最後に張りました。


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参考文献

  • 天翔、『重構桁鉄道橋の最期』(http://www.d1.dion.ne.jp/~j_kihira/library/others/jyukama.html)

変更履歴

  • 2016-02-23 冗字修正

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