北海道の中央部、占冠村。今でこそ鉄道や高速道路の通過点であり、決して交通に不便とは言いがたい当村を、地形だけで見てみると周囲を山々に囲まれ陸の孤島状態。その中で一際孤島感が半端無いニニウ地区と中央(村の中心部)を結ぶ道に2007年に赤岩トンネルが完成したことにより旧道が誕生しました。
ニニウからチャリで走り出しジャリジャリの1車線を行きます。こんなナリですがまだ旧道には入ってませんよ。旧道じゃないどころか現役道道でしかも主要道道。その番号は136番で名は夕張新得線。有名な獰道ですね。また重複で610号占冠穂別線でもあります。
旧道の入り口はここ。道は見事なクランクカーブを決めていますが、不自然すぎるこの線形を直進で抜けると旧道。
旧道に入って10秒で出迎えてくれるのが赤岩橋。赤岩トンネル旧道で最大の遺構。橋長60.8m、単径間の中路式アーチ橋。道道の旧道にも関わらず訳あって発注者は旭川営林局。
北海道で中路式アーチというのは珍しいそうな。言われてみると確かに見たことないかも。
さっきから視界に入り込む大きい橋は現在使われている赤岩橋。あまり聞いたこと無いけど上路式の曲弦ワーレンってことであってるでしょうか。新旧2代の橋が折り重なり首都高を彷彿とする立体的な土地利用を行っています。現役の赤岩橋の右はすぐ赤岩トンネルへと入って今日は最後まで出てきません。
橋の後の旧道は廃れすぎず現役過ぎずな、丁度食べごろの熟れ具合。
崩れかけた路肩から丸太がいくつも突き出していました。カルバートが木造?林道かよ!
ナリだけは完全に林道なんですけどね。この道の歴史を紐解いてみると、実際に林道だった過去があるんですよ。
中央ニニウ間の道はもともと鬼峠という峠を通っていて、現在の鵡川沿いに付け変わったのが昭和30年代半ば(1960年頃)。この時この道は一本の連続した道だったのに、村道やら森林組合道やら営林署専用林道やらがつなぎ合わさった格好でした。赤岩橋が旭川営林局の発注だったのはここが営林署の道だったから。木造カルバートっぽいものがあったのは森林組合の道だった場所。道道の指定はその後の話になるのでこの道が林道臭をプンプン放つのも無理はありません。
現道の赤岩トンネルは2,115m。2006年の開通を目指して2001年に着工したはいいけれど、予想外の設計変更→工事費が大幅増額→不適切な事務処理→発覚して工事が一時凍結、という冷や汗モノでしたが、2007年4月9日に開通しました。
旧赤岩橋は2012年末から翌年始めにかけて撤去されました。占冠村のホームページでは解体の初めから終了後まで3回その様子が伝えられています。1、2、3。また解体を請け負った大北土建工業さんのホームページでも撤去中の写真を見られます。占冠村の広報誌によると撤去後の銘板は占冠村郷土史良室に保管されているそうです。
この記事の情報
主要地点の地図
参考文献
- 占冠村、『占冠村史』、占冠村、1963年
- 『北海道新聞』、2002-02-08地方朝刊22面、「赤岩トンネル着工 06年夏にも使用開始 村道も新設中 道央へ新たな動脈に 占冠」
- 『北海道新聞』、2004-02-06全道朝刊37面、「占冠赤岩トンネル 知事承認得ず設計変更 02年度に道建設部 工事費増を隠ぺい」
- 『北海道新聞』、2004-03-30全道朝刊34面、「赤岩トンネル凍結 1000万円を業者に 道、リース費用など」
- 『北海道新聞』、2007-04-07旭川・上川版朝刊28面、「赤岩トンネル9日開通 新ルート道道6.8キロ 道央圏20分短縮」
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2013-01-25
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- 2016-03-30 本文中に追記
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2016-03-30
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