開拓使函館仮博物場公開

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函館市、函館公園内にあり日本現存最古の洋風木造建築の博物館として知られる「開拓使函館仮博物場」の内部が一日限定で公開されると聞きつけ見に来ました。


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1872(明治5)年頃、「病人に病院が必要なのと同様、健康な人にも養生所が必要である」とイギリス領事リチャード・ユースデン夫妻が公園の必要性を説き、1879(明治12)年11月3日に公園が開園しました。開拓使函館仮博物場は公園より一足早い1879(明治12)年5月25日に開館。尚、建物自体は1878(明治11)年5月起工、7月竣工。


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1882(明治15)年、開拓使を廃止し函館県へと移管したことにより函館県博物場へ改称。1884(明治17)年8月11日、新たな建物を1棟建てこれを函館博物場第2館、先の建物を函館博物場第1館に。1886(明治19)年、函館県を廃止し北海道庁へと移管。1887(明治20)年3月函館博物場の管理が函館区役所に。1892(明治25)年、函館商業学校の付属になり商品陳列場と改称。1895(明治28)年6月、再び函館区役所の管理になり名称は水産陳列場第1館に。1922(大正11)年8月、函館区が函館市になり管理も引き継がれる。1932(昭和7)年、水産館に改称。とまあ、名称や管理者が目まぐるしく変遷した建物です。1966(昭和41)年に現用の博物館が完成したため、現在は博物館施設としての利用はされていません。


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洋風の意匠に包まれた玄関ポーチ。モコモコッとした柱頭が支える妻切には開拓使の北極星が誇らしげ。


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屋根の上は和風に瓦葺。瓦なら洋風にも無いこともないけど、鬼瓦や巴瓦じゃ言い逃れはできまい。


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建物内は7間×4.5間=31.5坪の1部屋。函館博物館の歴史を物語る史料が展示されています。


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内壁の白はペンキではなく壁紙。現代みたいな壁紙じゃなくてほんとに紙。なでてみるとボール紙みたいな肌触りです。


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建物北西角には扉がありました。建物完成直後の1879(明治12)年度、管理人室と研究スペースを増築したといい、この扉の向こうがそれなのだと思います。この設備は現存せず、扉の裏はこうなっています。


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開拓使仮博物場を出て隣の函館博物場第2館も見てみます。1884(明治17)年8月11日開場、後に先住民族館として使われた建物です。こちらは今日公開されていないので外観のみ。


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玄関部分はポルチコから壁付きの風除室のようなホールにりました。


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屋根は現在トタン葺き。建設当時は柾葺きだったそうです。棟の端に鬼瓦なんて置かずにいかにも洋風な飾りがつきました。


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仮博物場も第2館はどちらも田中善蔵という人物が手がけたものですが、6年の間に上達し過ぎ。仮博物場は洋風というより擬洋風で、意匠もぼんやりとした西洋に感じました。第2館はしっかりピントがあった洋風です。


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参考文献

  • 川島龍司(著)、函館市文化財保護協会(編集)『函館市文化財シリーズ-第3集- はこだての文化財 古建築編』、函館市文化財保護協会、1971年
  • 函館博物館(編集)『函館博物館100年のあゆみ』、市立函館博物館、1979年
  • 著者不明、開拓使函館仮博物場内部公開(2013年)配布資料

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