ついでに層雲峡の方にも飛び出してきた

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せっかく日ごろのうっぷんを晴らすべく外出したのに昨日の空振りっぷりときたら目も当てられない酷さ。あんなんで満足するはずもなく予定になかったお泊りして層雲峡を走りに来ました。「層雲峡(そううんきょう)は、北海道上川町にある峡谷である。大雪山国立公園に位置し、石狩川を挟み約24kmの断崖絶壁が続く。大雪山黒岳山麓にある層雲峡温泉は大型ホテルなどが立ち並ぶ北海道有数の規模を誇る温泉街で、層雲峡および大雪山観光の中心地となっている。」(層雲峡 – Wikipediaより)。今日はその層雲峡の一番下流あたりにあるかんぽの宿をスタートします。


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かんぽの宿は知ってる人なら知っているこういうスポットです。建物を大胆に使って表現された「いらっしゃいませ」の精神はまさに圧巻。でも今日は構ってあげません。


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かんぽの宿から国道39号に入り少し走ると胡蝶岩橋という橋の左に古い橋がかかっているのが見えます。国道から確認できそんなに離れてなく大きな障害もないのにググった感じだと橋上のが写真1枚も出てきません。


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ということでネットでは1番乗りかな?国道から見えていたように2径間のランガー桁橋。藪のため現地で初めてわかりましたが、側径間はありません。


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藪のためめっちゃ斜めで申し訳ありません。もう片方もブレちゃってるし。親柱はモルタル洗い出し仕上げっていうのがレトロ臭を感じさせます。親柱に張られた銘板によると名は石狩川第四号橋で1955(昭和30)年8月竣工ということです。資料には橋長61.5m、幅員4.5mで、なぜか30mのポニートラス2連となっていましたが、国道から見ただけでも分かったようにどう見てもランガーです。


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また袂にはダム下流に設置される増水への注意を促す看板。右下に小さくURLとQRコードが付いているので2000年代くらいまで人が来ることがあったのかもしれません。


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橋上はその辺の地面と変わらぬ緑一色から鋼の欠円がのぞくちょっとカッコイイ光景。下路式はやっぱり絵になりますねえ。1955年といえばこのくらいの距離なら1スパンで跨げたはずなのに、わざわざ2径間というのは何の意図があるんでしょう。やっぱりただの節約?


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アーチに張られていた橋歴板を見るとなんと営林局の橋なのに一等橋。1939(昭和14)年の示方書では国道と幅員8m以上の街路の橋を一等橋としています。営林局が架けたんだからそりゃ林道なわけですが、将来は国道として使うことも考えて一等橋として建造したのかもしれませんね。


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にしても幅は1車線だし言ってる内容と実状が矛盾してます。


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渡り終えました。林道と分かった今、モルタルの親柱も短いランガーもすごくオーバースペックに思えてきます。


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国道に戻りました。背後に聳立する岩山はさっきの石狩川第四号橋のそばにも現在地にもそしてこの先もずっと、おはようからおやすみまで僕の行脚を見守ってくれています。


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左右両側やや上方向から柱状節理に見守られつつ層雲峡の温泉街に着きました。といっても温泉に浸かる訳でも無し、ここから山に登るでも無し。


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温泉街に所在する2本の吊橋の生存を確認して(写真右は立入禁止になっちゃってました)再び国道を進みます。今回はサイクリングメインなんだからね!


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銀河トンネルには入らず双瀑台方向に入りました。層雲峡覆道かっこいいですね。なんかこう、生物的な柔らかさがあるっていうか。ラーメンタイプだからできる側壁と天井のなめらかなつながりが気持ちいいっすよね。谷側は遮るものがないので開放感あるし。札幌にお住まいの方は中山峠に行けば似たような覆道がありますね。


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双瀑台の売店やら駐車場やらを抜けてもなお道は続いていましたが、ゲートのためこの寄り道はここまでにしときましょう。双瀑台というからには二つの大きな滝が見える場所で、人気の少ないゲート近くにもたま~に観光客がちらほら迷い込んできます。全く誰もいないならゲート越えて入りたいんですけどね~。それじゃ行きますよ!ワ~プ!


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シュタ!と層雲峡の最上流部ぐらいの大函に飛んできました。大函といえば全く垂直なゴルジュによる景観でおなじみですが、ここに至るまで断崖は飽きるほど見てきたので、写真の主題は国道の旧道です。ここも入りたかったんですけどねぇ。出たんですよ。観光客が。しかもごゆっくりお食事を召し上がり始めて、そうしてる間に別の観光客が来てデススパイラル。


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林野庁が発注した一等橋で部材がちぎれてる橋とか入口・出口で坑口の断面が違うトンネルとか傍から見るだけで興味の尽きない道です。でもやっぱり観光客の目が気になってしょうがないのでちょっと、ね。
大函から上には自転車で行ける範囲にダムくらいしかないので戻ります。


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さて戻ったは戻ったでも層雲峡温泉街の対岸に来ました。ここにも旧道があるんですよ。そして写真中にトンネルを見つけられますよね?このトンネル見てみる前にちょっと層雲峡の交通の歴史についてお勉強しときましょう。
1924(大正13)年、層雲峡で温泉宿を経営する荒井初一が双雲別(層雲峡の下流、今日スタートした辺り)から温泉まで徒歩道を付け、1926(大正15)年9月に拡張整備して自動車道としました。温泉の上流側はというと、1927(昭和2)年、温泉から大函まで林道が開削されたのが始まり。じゃあ今僕が立っている旧道とやらは、これらの道なのかというと答えはノー。1944(昭和19)年から短期間だけ存在した層雲峡森林鉄道が林道へと転換した際に、ここだけはルートをたがえて温泉街を通らないようにし、それで作られたのがこの道。見えるトンネルは層雲峡隧道というトンネルで1954(昭和29)年の竣工。年代や発注者から、本日最初の方で見た石狩川第四号橋も転換に際して架けられたとみて間違いないでしょう。


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歴史が分かったところでぼちぼちトンネルに入ってみましょう。……ってクサッ!!コノ部屋臭ウヨー!穴に顔近づけたら凄い硫黄臭い温風がブオーって吹いてきた!さすが道内有数の温泉地、中で温泉湧いてるのか。いくら向こう側が見えてる風通しの良いトンネルと言ってもこれは入ったら中毒死するレベル。風向きが逆で知らずに入坑してたらマジでやばかった。というわけでここは撤退。


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そして反対側へ。こっちはなんと消防署の目の前。近づきにくきことこの上なし。


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「不審者じゃないぞ」オーラを出そうと演じると余計不審者っぽくなっちゃいますよね。そんなことはどうでもいいっすね、すみません。こちら側から風が吹き込んでるのでまったく硫黄の臭いはしません。でも入るのは厳禁。いくら消防署が近くても、酸欠なったら声を上げる暇もないから。坑口上には読めないほど達筆な扁額が掲げられ、多分「層雲峡隧道」と書かれてます。


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坑口右の側壁にはこれまた読めないほど汚い銘板。自己満足 北海道さんではこの銘板を解読されていらっしゃいます。


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床には鉱物の含有を想像させる赤い水。点々と見えるゴミ。壁はひび割れ成分が染み出してます。まるでお化け屋敷。もちろん中には入らず外からの撮影ですよ。
トンネルを後にし、帰路に着きました。今日もなんだかんだで入れない続きで空振りでしたね。ここまできたらやってやるぞ!明日もどこか行っちゃうぞ!

この記事の情報

主要地点の地図

参考文献

  • 上川町、『上川町史』、上川町、1966年

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